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ビル・スターク
2009年10月16日金曜日
プロツアー・オースティンは第四回戦を迎え、ここフィーチャー・マッチ・エリアではブラジルのスーパースターである"PV"(パウロ・ヴィッター・ダモ・ダローサ)とアメリカのオシップ・レベドウィッツの二人が対峙している。陽気で騒々しい性格とヴェニスの地でプロツアー・チャンピオンに輝いたことで知られているオシップは、《弱者の剣/Sword of the Meek》と《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》によるコンボデッキをエクステンデッドのデッキとして選択している。一方、オシップの対戦相手となる"PV"が手にしているのは、今週注目の話題作のひとつである青黒「呪詛術師の深部」(《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》+《暗黒の深部/Dark Depths》)デッキだ。
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| 黒装束で勝負するオシップ・レベドウィッツ |
第1ゲームの序盤、さっそくオシップ・レベドウィッツは決断を迫られていた。後手のPVが第1ターンから《金属モックス/Chrome Mox》でのマナ加速から《闇の腹心/Dark Confidant》召喚という、「ブンまわり」をにおわせるスタートを見せる一方、アメリカ勢オシップが静かに《アカデミーの廃墟/Academy Ruins》と《平地/Plains》を場に出しただけというシーンで、時が止まる。結局、オシップは《流刑への道/Path to Exile》で2/1クリーチャーを追放することを決断するのだが、何故ここでオシップが迷ったのだろうか?
それはコンフラックス産インスタント呪文《流刑への道/Path to Exile》がパウロ・ヴィッター・ダモ・ダローザの「呪詛術師の深部」デッキのフィニッシュブローとなる20/20マリット・レージ・トークンへの強力な対抗手段となりうるため、決して無駄遣いは出来ないという前提があるからだ。しかし、悩みに悩んだ末、ゲーム最序盤から"PV"が大きなカードアドバテージを獲得するのをオシップは黙認できなかった。
対戦相手にプレッシャーをかけるべく、PVは《思考囲い/Thoughtseize》を唱え、オシップの手札から《神の怒り/Wrath of God》を墓地に捨てさせた。PVは手札破壊呪文に続けて《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》を召喚し、ターンを終了。オシップはカードを1枚ドローするが、青マナ供給源にめぐりあえず、《幽霊街/Ghost Quarter》をセット。オシップの手札の中には青マナ欠乏によりプレイできない《けちな贈り物/Gifts Ungiven》と2枚の《知識の渇望/Thirst for Knowledge》といったカードが死蔵されている。他方、PVは「呪詛術師の深部」コンボの残り半分、「深部」こと《暗黒の深部/Dark Depths》を戦場に出して、いつでも20/20トークンを解き放つコンボを始動できる体制を整えた。しかしPVはここで《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》の能力を起動せず、自分自身を対象とした《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》を召喚することを選択。2/1と3/1によるビートダウン攻勢を選択し、《暗黒の深部/Dark Depths》を対象に《幽霊街/Ghost Quarter》を使用するチャンスをオシップに与えた。
ようやくここで《金属モックス/Chrome Mox》から青マナも出せるようにもなったオシップ・レベドウィッツは、《審判の日/Day of Judgment》詠唱で敵陣を一掃。オシップの大量破壊呪文のおかげで「呪詛術師」起動で「深部」のカウンターを取り除くというゲームプラン遂行は難しくなったPVだが、すぐさま彼は《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》再展開から盤面の再構築に取り掛かった。3/1飛行でのビートダウンというブラジル勢にとっての「次善の策」は実に有効で、あっという間に対戦相手を残りライフ2点という危険水準まで追いつめることになった。瀕死のオシップは青と白の二色しかマナを用意できない状況が続いたわけだが、敵陣に置かれた《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》の恩恵で黒マナを調達できる展開となり、X=3の《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》で3/1飛行を何とか対処するという瀬戸際の攻防を見せた。PVも《闇の腹心/Dark Confidant》を後続として展開。
そして、《アカデミーの廃墟/Academy Ruins》で再利用できるようになった《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》によってPVの《闇の腹心/Dark Confidant》を破壊しようとするオシップ…
…しかし、ここでPVから「ちょっと待った!」がかかり、ジャッジが呼び出される展開となった。ここでジャッジを前に両者が主張しあった内容(*訳注:どのタイミングでオシップが《仕組まれた爆薬》の能力を起動したか等)が大きく食い違い、ヘッドジャッジ裁定を仰ぐほかないという結論になる。二人のプレイヤーは気まずい沈黙に耐えながら静かに着席し、最終判断を待った。
そしてヘッドジャッジを前に討論が繰り広げられること15分。最終的なルール裁定により「オシップは自分のターンの終了時に《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》を起動した」ということになった。
二人は試合を再開し、ドロー・ゴーが続く静かな展開が訪れる。そこへオシップは《翻弄する魔道士/Meddling Mage》を召喚して《弱者の剣/Sword of the Meek》を佩かせた。この装備品はオシップの「ソプター・コンボ」の最重要パーツのひとつであり、《クラーク族の鉄工所/Krark-Clan Ironworks》と《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》との組み合わせで無限マナと無限ライフを生み出してくれることになる。しかし、アメリカ勢にとっては不運なことに、3枚無限コンボのうちの残り2枚が揃っていない。
PVはマニュアル通りに《暗黒の深部/Dark Depths》からモンスターを解き放つプランを試みたが、このコールドスナップのレア土地カードへと照準を定めた《幽霊街/Ghost Quarter》の《露天鉱床/Strip Mine》能力がそれを阻んだ。次の一手が必要なPVは、《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》の召喚を禁じている敵陣の《翻弄する魔道士/Meddling Mage》を《撤廃/Repeal》でバウンスし、2/1「呪詛術師」を戦場に出す。あわせてPVは《暗黒の深部/Dark Depths》をセットし、おそるべき巨大さの、怒れる20/20トークン・クリーチャーを続くターンに登場させたが、これはオシップが温存していた《流刑への道/Path to Exile》によって即座に追放される運命を辿る。
そして、かくも高度な水準でのプレイを長い期間にわたって遂行できているパウロ・ヴィッター・ダモ・ダローサという選手の強さの秘訣、すなわち忍耐の力の何たるかを我々は思い知る。PVは「呪詛術師」「深部」をふたつとも手にしているのにもかかわらず、ここでコンボを起動せずに2/1「呪詛術師」でのアタック宣言。戦闘後に《トレイリア西部/Tolaria West》を「変成」して《虚空の杯/Chalice of the Void》をサーチし、これをX=1で設置しにかかったのだ。《虚空の杯/Chalice of the Void》が1マナ呪文を封じるということは、すなわち《流刑への道/Path to Exile》という名のオシップの防衛力を無力化することを意味し、深遠から解き放たれるマリット・レージを阻むものがなくなるのだ。オシップ・レベドウィッツもこの《虚空の杯/Chalice of the Void》キャストにレスポンスして《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》へと渦中のインスタントを見舞うのだが、PVはここで静かにコンボを始動して20/20アバター・トークン・クリーチャーを生成。駄目押しとばかりにPVは、二枚目の、X=2での《虚空の杯/Chalice of the Void》を設置。1マナ域、2マナ域を封じられたオシップはライブラリーの一番上のカードをちらりとのぞき見てから、盤面を片付けて第2ゲームへと進む準備をはじめた。
ダモ・ダローサ 1 - レベドウィッツ 0
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| こちらも黒装束のパウロ・ヴィッター・ダモ・ダローサ |
PVの第2ゲームはマリガンからのスタートとなったが、第1ゲームに続いて《金属モックス/Chrome Mox》のマナ加速による開幕ターンのクリーチャー展開というキックオフに成功した。もっとも、今回は《闇の腹心/Dark Confidant》ではなく《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》からとなったわけだが、良い滑り出しであることは間違いない。さらにPVは第2ターンに《暗黒の深部/Dark Depths》をセットして《闇の腹心/Dark Confidant》召喚と続け、それを受けたオシップはカウンターを2つのせた《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》を設置する。ここでPVの《闇の腹心/Dark Confidant》がめくりだした追加のドローが《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》であったことは、長期戦となった第1ゲームとはまったくことなる電光石化の戦いを予感させるに十分だった。
…3/1飛行の手札妨害呪文によって安全を確認してから20/20トークンを降臨させるべくコンボを起動!?
しかしながら、PVがダブルシンボルの《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》を唱えるための二つ目の青マナにたどり着けなかったため、オシップ・レベドウィッツに反撃の機会が与えられることとなった。アンタップしたオシップはX=2爆薬を起動。PVは対応して「呪詛術士の深部」コンボを起動すべく《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》を生贄にささげる。そして、そのPVの呼応にさらに対応してオシップの《幽霊街/Ghost Quarter》が《暗黒の深部/Dark Depths》を破壊した。PVは《幽霊街/Ghost Quarter》の効果で《沼/Swamp》を手に入れ、《沈んだ廃墟/Sunken Ruins》との組み合わせで《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》召喚のための青マナふたつを確保した。予測されたとおり、PVは《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》でオシップの手札に襲いかかり、《クラーク族の鉄工所/Krark-Clan Ironworks》、《交錯の混乱/Muddle the Mixture》、《翻弄する魔道士/Meddling Mage》2枚という手札を確認した。
《翻弄する魔道士/Meddling Mage》のうち一枚がオシップのデッキの底に送り込まれ、オシップは《金属モックス/Chrome Mox》をプレイしただけでターンを返した。PVは3/1飛行でアタックを敢行してから第2ゲームで2回目となる「呪詛術士の深遠」コンボパーツを盤上にそろえた。次のターンもオシップが静かなドロー・ゴーのみで終えたため、PVは《暗黒の深部/Dark Depths》を対象に《吸血鬼の呪詛術士/Vampire Hexmage》を使用すべきかどうかをしばらく検討し、結局ここでコンボを始動した。この「呪詛術士」起動にオシップはレスポンスして《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を詠唱し、《流刑への道/Path to Exile》、《撤廃/Repeal》、《弱者の剣/Sword of the Meek》、《飛行機械の鋳造所/Thopter Foundry》の4枚をライブラリーから提示した。PVはここでオシップの手札に2枚のコンボパーツを送り込み、20/20トークンへの対応策を墓地へ捨てさせた。この《けちな贈り物/Gifts Ungiven》へのPVの的確な対処を前に、オシップは投了を余儀なくされたのだ。
ダモ・ダローサ 2 - レベドウィッツ 0