決勝戦:『黄金の杭』

Bill Stark

日曜日, 6月 07, 2009



三田村和哉 vs. Michal Hebky

3度目のPTトップ8となる三田村。3度目の正直なるか?

 プロツアー・ホノルルの決勝戦。日本の代表となったのは今回で3回目のトップ8となる三田村和哉。対峙したのはチェコ共和国の、Michal Hebkyだ。

 三田村、こと「チーフ」は、『カッコーの巣の上で』というアメリカ映画に出てくるキャラクターに奇妙なくらい似ていることでプロツアーではよく知られていたりするのだが、まさに優勝候補としてシングルエリミネーションラウンドを勝ち進んできた。三田村は日曜日に登場したプレイヤーの中で最も熟練したプレイヤーの1人であろう。間違いない。

 対戦相手、若きMichal HebkyはConley Woodsの弾丸を準決勝で巧みにかわし、どう見ても不利なマッチアップだと思われていたゲームから抜け出してきた。とはいっても、これは少しも驚くべきことではないと思う。

 二人の選手は静かに第一ゲームに向けてシャッフルを終えた。


Game 1

 両者とも2ターン目が初動、だがMichalだけがクリーチャーだ。代わりに三田村は《豊穣の痕跡/Trace of Abundance》でマナを加速する。2ターン目に出た《ナヤの静刃/Naya Hushblade》に続くMichalの動きは《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》で、これによって三田村のライフは17に。これはMichalにとって非常に攻撃的なスタートであったが、三田村はすぐさまひっくり返した。《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》が《燃えさしの織り手/Ember Weaver》を公開し、Hebkyの攻勢を挫折させてみせたのだ。そして更に《ロウクスの粗暴者/Rhox Brute》を続ける。

 一方、Hebkyは土地と格闘していた。1ターン土地が止まり、その後も緑と白しか出ず、バント3色を出すには青が足りない。三田村はそれに気付いていないかのように、攻撃を仕掛けつつ2枚目の《燃えさしの織り手/Ember Weaver》を。2/1の《ナヤの静刃/Naya Hushblade》と《宮廷のホムンクルス/Court Homunculus》だけを残し、Michalのライフはたったの3。生き残るために必要としていた土地がトップにないことを受け、Hebkyは投了した。

三田村 1-0 Hebky


Game 2

新鋭Michal Hebkyはマッチのはじめから窮地に陥る

 初戦で事故を起こしてしまった後、彼は運命の女神に祈りを捧げた。しかし彼女は聞いているように見えない。初手をマリガンさせられ、6枚に。新たな初手にうなずくと、三田村が嬉しそうに初手を7枚にしたまま、両者は戦いを始めた。

 《ナヤの静刃/Naya Hushblade》がこのマッチ2度目のファーストアクションとなり、2/1としてMichal Hebkyの場に登場する。蓋を開けてみれば、最初の数ターンは1本目と何も変わらず、三田村は《豊穣の痕跡/Trace of Abundance》を貼って、Hebkyは《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》を使いつつ3ターン目に3点、となった。

 三田村が《森の報奨/Sylvan Bounty》の土地サイクリングのために黒マナを浮かせて初めてゲームの様相は1本目と異なってきた。三田村は浮いたマナを使って《ゴブリンの異国者/Goblin Outlander》をプレイ。相手の白いクリーチャーたちのボードに対して強力なカードだ。

 テーブル挟んで向こう側のMichal Hebkyはイライラした様子で手札をシャッフルした。森と平地で始めるも、彼は3枚目の土地を引けなかった挙句、何も出来ないまま《ナヤの戦闘魔道士/Naya Battlemage》、続いて《喰らうワーム/Gorger Wurm》を出されるのを見届けるしかなかったのだ。そこにちょうどよく、島がHebkyの場にライブラリートップから躍り出る。これこそが始まりだが、状況打開のためには時間がもうほとんどない。新たな土地を使って《器用な決闘者/Deft Duelist》をプレイし、被覆の能力のおかげで三田村の《ナヤの戦闘魔道士/Naya Battlemage》をブロックすることが可能になった。

 ターンが返ると、日本代表は最良の攻撃を見出そうと試みた。そして《ゴブリンの異国者/Goblin Outlander》 《喰らうワーム/Gorger Wurm》をレッドゾーンへ送り出す。

 Michalは《ナヤの静刃/Naya Hushblade》と《器用な決闘者/Deft Duelist》で5/5を討ち取り、三田村の《ナヤの戦闘魔道士/Naya Battlemage》が《異国者》をパンプしたことによりライフは「7」となった。戦闘が終わると、三田村は《ジャングルの織り手/Jungle Weaver》をサイクリングしてターンが終わった。このサイクリングは場を見ると不可解に思える。もう1枚だけ土地があれば5/6を出せるのに・・・。Michalが2/2の《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》で攻撃し、タップアウトしながら《伝書隼/Messenger Falcons》をプレイ。そして三田村は自分の計画を実行に移す。Hebkyがターンを返すと、三田村は《復讐に燃えた再誕/Vengeful Rebirth》を見せたのだ!これによって《織り手》が手札に帰り、同時に致命的な7点がMichalへ。Hebkyはタップアウトでありかつライフがちょうど7。このカードによって、Hebkyは0-2で王手をかけられて3本目へ。

三田村 2-0 Hebky


Game 3

 最初の2ゲームは、Michalは不運に苛まれた。マナが事故り、マリガンをしたのだから。だが3ゲーム目はすぐにキープを宣言し、今度は新たな6枚を求めて手札を返したのは三田村の番だった。完璧な流れを保つべくMichal Hebkyは3ゲーム連続となる2マナ域でキックオフ。今回は《器用な決闘者/Deft Duelist》で、更に《アクラサの守護者/Guardians of Akrasa》が続き、賛美で三田村は17に。一方三田村は《森の報奨/Sylvan Bounty》をサイクリングし、その後《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》を繰り出した。

すべての目が最終戦のおこなわれるスクリーンに釘付けだ

 デッキがようやくプレイに堪えるものとなったMichalの攻撃は続く。《伝書隼/Messenger Falcons》を送ると、カードが1枚おまけでついてくる。続くターンで《伝書隼/Messenger Falcons》と《器用な決闘者/Deft Duelist》が攻撃すると、三田村のライフは10に。Hebkyの場に《ナヤの静刃/Naya Hushblade》が現れてしまったため三田村は生き残るためには何か助けが必要だ。そして彼は《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》にたどり着く。これは相手の先制攻撃持ちたちをブロックできるサイズを持ちながら、タダで《隼》を撃墜。Michalは《波掠めのエイヴン/Waveskimmer Aven》で攻撃を可能にし、三田村は6に。

 入り始めた穴から抜け出そうと必死な三田村は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》をプレイ。3/2が捲ったのは《水膨れ虫/Blister Beetle》で、これで何を叩くか苦悩する。結局対象は《波掠めのエイヴン/Waveskimmer Aven》となり、《エルフ》を攻撃へ。Michalは《アクラサの守護者/Guardians of Akrasa》でブロックすることを選ぶと、三田村は嬉しそうにそれを《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》で撃退した。更に戦闘後、三田村は《サングライトの反発/Sangrite Backlash》を《波掠めのエイヴ》へ。これで2/4が殺され、Michalは悔しそうに歯を食いしばった。賛美がなければ、《器用な決闘者/Deft Duelist》でサイズの大きい相手の軍勢を突破することが出来ないのだ。

 そんな感じで、三田村のポジションは悪いものからもう逆転、というところになった。《ナヤの戦闘魔道士/Naya Battlemage》、《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》、《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》、《水膨れ虫/Blister Beetle》対《ナヤの静刃/Naya Hushblade》 《器用な決闘者/Deft Duelist》だ。唯一の問題はライフで、18-6で負けている。もっとも、バントにはそれほど火力がないことで有名だが。Michalのプレイは《エーテル階級の騎士/Ethercaste Knight》で、三田村の返す刀、《ゴブリンの異国者/Goblin Outlander》を見ると青ざめた。この小さな2/2でHebkyのチームは「ほぼ」押さえられた。一応、Michalの持つ除去呪文は全部青だからだ。

 Michalの場に《アラーラのオベリスク/Obelisk of Alara》、即ちZac Hillの手から逃れることを許した爆弾が現れると、周りの観衆達はみな「おおおお・・・」とつぶやいた。果たしてMichalはこの強力神器で生き残ることが出来るのか!?

 それは三田村が自分のターンで答えるべき問題だ。《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》と《ゴブリンの異国者/Goblin Outlander》をレッドゾーンに送り、《ナヤの静刃/Naya Hushblade》 《エーテル階級の騎士/Ethercaste Knight》のダブルブロックに対してその両者を倒すために3/4をパンプアップ。この戦闘でHebkyは2体のクリーチャーを失い、ライフは10に。だが、それでもオベリスクを握って落ち着いている。

 Hebkyの《バントの魔除け/Bant Charm》が《ナヤの戦闘魔道士/Naya Battlemage》を払い、《アラーラのオベリスク/Obelisk of Alara》が1度に5点ずつライフを高める。

 彼の問題は三田村が未だ5点近い攻撃をしていることだ。そして、両者とも場への追加はない。

 ライフを14とすると、Hebkyは攻撃に戻ることにした。《器用な決闘者/Deft Duelist》を戦闘に送り、三田村は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》ではチャンプブロックせずにライフを4とする。《エスパーの鵜/Esper Cormorants》がHebkyの場に登場すると、三田村は1ターンだけ、解答を引く猶予が与えられた。もしこの3/3飛行を倒せなければ、《アラーラのオベリスク/Obelisk of Alara》のパンプ能力が破滅へと導いてしまう。彼はそれを引くことはできなかったが、投了はせず、自信満々にターンを返して相手に全力での攻撃をするリスクを犯させることにした。三田村は怯えていない。しかしMichalは『鵜』を送り込み三田村がブロックできないと見ると、パンプアップによってトップ8に生き残ることとなった。

三田村 2 - 1 Hebky


Game 4

Hebkyは劇的な逆転劇の舞台へと

 4ゲーム目の戦いの準備ではまたしても三田村がマリガンする番となった。紳士たるHebkyは公平にせんと6枚の手札をキープ。後方では、Michalの東ヨーロッパの友人達がそれに同意しないというようなうめき声を一斉にあげた。そしてHebkyの唇には小さな微笑がこぼれた。応援団たちは突如盛り上がった。Hebkyの最初のドローは、彼が6枚の手札を動かすのに必要な《荒原の境界石/Wildfield Borderpost》だったからだ。

M ichalが《器用な決闘者/Deft Duelist》、三田村が《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》で開始し、Michalが序盤の主導権を《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》を追加したことで握り始める。この2/2は、三田村が4ターン目に何もしなかったこともあり非常に強く見えた。Hebkyの攻撃で三田村のライフは14になるが、その後の追加はないようだ。

 三田村はアンタップするとすぐに土地と《腐肉団/Carrion Thrash》をプレイするが、この4/4の生命線が《バントの魔除け/Bant Charm》によってデッキの底に送られるとがっかりとした。彼はなんとかして相手のクリーチャーの群れに追いつこうとするが、今や《波掠めのエイヴン/Waveskimmer Aven》 《エーテル階級の騎士/Ethercaste Knight》も追加された。《サングライトの反発/Sangrite Backlash》と《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》の射撃で《エイヴン》を倒そうとするが、それもMichalの《圧倒する波/Resounding Wave》で救われてしまう。

 だがまだ、三田村は《滅消の杭/Quietus Spike》を《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》につけることで時間を稼ぐ。これによって紛れもない、0/1の曲射砲が完成し、三田村は敵のクリーチャーを射撃しながら市街地へ進撃していく。接死を与えられた《とげ刺し》の、1度の射撃は死を意味する。ところがそれでも充分ではなかった。

 Michalは脅威を次々に繰り出し、最後の戦闘ステップへとクリーチャーを進めた。三田村は必死に《暴力的な突発/Violent Outburst》で解答を探る。めくれた《ゴブリンの異国者/Goblin Outlander》では役不足、勝負は第5ゲームへともつれこんだ。

三田村 2-2 Hebky

 この日曜日、Michal Hebkyは2度目の5本目へと進んだ。最も熟練した相手、優勝候補のデッキを使っている男に対して、0-2で王手をかけられながら。この奇跡の少年は、あと1ゲームでこれまでの想像を絶する戦いの連続を振り返ることとなる。その道に立ちはだかるのはまるで魔王のような、三田村和哉。自分のリードがなくなった2ゲームにも、全く動じていない様子だ。

 プロツアーの全てが、この最終戦で決まる。


Game 5

三田村は勝利への道を模索する

 Hebkyは初手をキープできず、6枚へ。このマッチで初めて両者が1ターン目のプレイを行った。三田村は《巨怪なオサムシ/Monstrous Carabid》をサイクリングし、対するMichalは《宮廷のホムンクルス/Court Homunculus》を。Hebkyにとって不運なことに、彼は2ターン目に1/1を強化するアーティファクトも、クリーチャーも出せずただターンを返す。三田村はマナベースに着手し、《森の報奨/Sylvan Bounty》をサイクリング。アンタップしてすぐにターンを返す。

 《暴力的な突発/Violent Outburst》によってめくれた《サングライトの反発/Sangrite Backlash》が《ホムンクルス》を除去し、間もなく場は日本に《ロウクスの粗暴者/Rhox Brute》、対するチェコに《エイヴンの先駆者/Aven Trailblazer》 《エスパーの鵜/Esper Cormorants》というものとなった。三田村が《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》によって3/3の《エスパーの鵜/Esper Cormorants》を始末し、同時に3/4を手にすると明らかにHebkyが嫌悪感をあらわにした。彼のデッキから緑マナソースが出てこない。生き残るために、《結晶化/Crystallization》を《ロウクスの粗暴者/Rhox Brute》に使わざるを得ない。

 三田村は圧力をかけるのをやめない。《腐肉団/Carrion Thrash》を使ってビートダウンを続けんとする。巨大な4/4と3/4のミノタウルスがサイズで相手の1/3の《エーテル階級の騎士/Ethercaste Knight》、《器用な決闘者/Deft Duelist》を圧倒する。更に《滅消の杭/Quietus Spike》が現れ《死の一撃のミノタウルス/Deadshot Minotaur》がこれを掴むと、Michalはこの装備品を見て落胆する。どうすれば相手の攻撃をブロックできるか、勝つ可能性を残せるのか・・・見出そうとする。

 1体ずつ、Michal Hebkyのクリーチャーたちは三田村和哉の強靭な怪物たちに踏み潰されていく。日本の星に《ジャングルの織り手/Jungle Weaver》が降りると、まさに終末が近いことを悟った。1度きりのドローステップで解決しなければならなかったが、彼がそれをめくり、求めたものではないとわかると、敗れた彼は右手を差し出した。


三田村和弥が3-2でMichal Hebkyを打ち倒し、PTホノルル優勝!

Michal Hebky


5 《森/Forest》
5 《島/Island》
4 《平地/Plains》
1 《海辺の城塞/Seaside Citadel》

-土地(15)-


1 《エイヴンの従者/Aven Squire》
1 《エイヴンの先駆者/Aven Trailblazer》
1 《宮廷のホムンクルス/Court Homunculus》
1 《暁の光の射手/Dawnray Archer》
1 《器用な決闘者/Deft Duelist》
1 《徴兵されたワーム/Enlisted Wurm》
2 《エスパーの鵜/Esper Cormorants》
2 《エーテル階級の騎士/Ethercaste Knight》
1 《アクラサの守護者/Guardians of Akrasa》
1 《カターリの金切り声上げ/Kathari Screecher》
1 《伝書隼/Messenger Falcons》
1 《ナヤの静刃/Naya Hushblade》
1 《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》
2 《波掠めのエイヴン/Waveskimmer Aven》
1 《翼のコアトル/Winged Coatl》

-クリーチャー(18)-
1 《バントの魔除け/Bant Charm》
1 《急使の薬包/Courier's Capsule》
1 《結晶化/Crystallization》
1 《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》
1 《アラーラのオベリスク/Obelisk of Alara》
1 《魂の威厳/Soul's Majesty》
1 《荒原の境界石/Wildfield Borderpost》

-呪文(7)-
1 《骨の鋸/Bone Saw》
1 《垂れ流しの達人/Cathartic Adept》
1 《押さえつける触手/Constricting Tendrils》
1 《エスパーの滞留者/Esper Sojourners》
1 《最前線の賢者/Frontline Sage》
1 《妨げる光/Hindering Light》
1 《幻影の悪魔/Illusory Demon》
1 《カターリの残影/Kathari Remnant》
1 《大理石の杯/Marble Chalice》
1 《バントのオベリスク/Obelisk of Bant》
1 《圧倒する波/Resounding Wave》
1 《ツカタンのサリッド/Tukatongue Thallid》
1 《雄々しい守備兵/Valiant Guard》
1 《ヴェクティスの威圧者/Vectis Dominator》
1 《ヴィダルケンの異端者/Vedalken Heretic》
1 《惨めな食事/Wretched Banquet》

-サイドボード(16)-

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