![]() |
Tom LaPille
土曜日, 6月 06, 2009
![]() |
| 野中とTom Rossは、互いに異なる断片、異なる戦略を携えて 戦場に向かう。異なる結末が2人を待つ。 |
プロツアー後半のラウンドでの1番卓には、マジック界の超大御所が座っていることが多い。しかし、このラウンドの1番卓に座っていた2人はそうではなかった。Tom Rossと野中健太郎、彼らはプロツアーに参加するのがはじめてというわけではないが、彼らの名前を聞いたプレイヤーが畏怖するほどの大御所ではない――今のところは。彼らはともに今週末ドラフトを6戦全勝、金曜日の構築を4-1で勝ち抜いてきた、1番卓に座る資格を持つプレイヤーなのだ。
彼らがどこでマジックの最高のステージで結果を残すスキルを磨いてきたのかを説明しよう。Rossはルイジアナ出身、野中は日本出身だが、彼らが腕を磨いたのはともにマジック・オンラインにおいてだった。他の誰かと調整するのではなく、彼らはマジック・オンラインにおける自分の経験を信じたのだった。今週末、彼らのどちらか、あるいはその両方の名前が世界に響き渡る可能性を考えると、彼らのその手法は成功を収めたと言えるだろう。
Rossのデッキはナヤ・アグロで、低マナに寄っているために《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》は入っていない。一方の野中はいわゆる普通のジャンドデッキで、《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》が味付けに入っている程度だ。
野中が《野蛮な地/Savage Lands》から《崩れゆく死滅都市/Crumbling Necropolis》と時間をかけている間に、Rossは《野生のナカティル/Wild Nacatl》をプレイ、《ナヤの全景/Naya Panorama》を使って2/2に強化と軽快な立ち上がりを見せる。野中の最初に呼び出したのは《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》、Rossはこれに対抗すべく《不屈の随員/Dauntless Escort》を呼び出す。これに対して野中はなんと《藻のガリアル/Algae Gharial》を召喚し、ゲームの流れを決めにかかる。ゲームが長引けば、《藻のガリアル/Algae Gharial》は圧倒的なまでのサイズを手にすることになる。
《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》でさらに2体の《野生のナカティル/Wild Nacatl》を取り寄せるRossに対し、野中は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》をプレイ、続唱で《終止/Terminate》を引き当ててRossの《不屈の随員/Dauntless Escort》を対象にプレイ。Rossはそれに対応して《不屈の随員/Dauntless Escort》を生け贄に捧げ、自分のクリーチャーを破壊されなくする。これで野中はこのターン攻撃できなくなってしまった。その後のRossのターン、Rossは探してきた《野生のナカティル/Wild Nacatl》と《貴族の教主/Noble Hierarch》を出し、場をさらに強化していく。
野中の《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》が戦場を駆け抜け、Rossに3点のダメージ。そしてさらにもう1体の《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》が参戦する。《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》を警戒したRossは、手札に《野生のナカティル/Wild Nacatl》を残したまま何もせずにターンを返した。野中は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》と《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》で再び攻撃を仕掛ける。Rossはまたも何も出さず、《ナヤの魔除け/Naya Charm》を使って次のターンの攻撃を防いでいく。
Rossが妨害がないと見て《野生のナカティル/Wild Nacatl》2体と《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》で攻撃したところに、野中は《終止/Terminate》を使って自分の《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を墓地に送り、3体のブロッカーを生み出した。2体で《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》と相討ち、もう1体は《野生のナカティル/Wild Nacatl》をチャンプブロック。これで《藻のガリアル/Algae Gharial》のサイズはなんと7/7。戦闘終了後、Rossは再び《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》をプレイし、4体目の《野生のナカティル/Wild Nacatl》と2体目の《貴族の教主/Noble Hierarch》を手札に入れる。それらをプレイしてターン終了だ。
どちらも効果的な攻撃が出来ないまま、数ターンが過ぎた。新しく呼び出された《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》が、戦況を動かすべくRossの率いる《野生のナカティル/Wild Nacatl》4体、《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》、《貴族の教主/Noble Hierarch》からなる軍勢に突撃を仕掛ける。誰もブロックしないままにRossのライフは残り8点。次のターン、野中は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》をプレイ、続唱で出てきた《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》を使って《野生のナカティル/Wild Nacatl》を一気に除去することに成功し、ここぞとばかりに《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》2体、《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》2体、それに《藻のガリアル/Algae Gharial》による総攻撃を仕掛ける。Rossはチャンプブロックしてライフを2点残すも、次のターンの敗北を防ぐ手立ては残されていなかった。
野中 1, Ross 0
![]() |
| Rossはマッチに集中している。 |
Rossは第2ゲームを《アニマのドルイド/Druid of the Anima》から開始し、《不屈の随員/Dauntless Escort》、《野生のナカティル/Wild Nacatl》とつないでいく。第1ゲームと同様に、野中は《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を第3ターンにプレイすることに成功した。少し考えてから、Rossは第4ターンにタップアウトして《茨異種/Thornling》をプレイ。守るための緑マナを残しておきたいところだったが、《不屈の随員/Dauntless Escort》で充分その任は果たせると判断したか。野中の第4ターンには《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》、出てきた《マグマのしぶき/Magma Spray》で《アニマのドルイド/Druid of the Anima》を除去していく。
《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》も《終止/Terminate》も通用しない《茨異種/Thornling》に対応できる野中の呪文はただ《ボーラスの奴隷/Slave of Bolas》のみ。《茨異種/Thornling》が4点のダメージを与え、野中は急いでこれを除去しなければならない局面に追い込まれた。Rossの2体目の《不屈の随員/Dauntless Escort》が出てきたことで、野中はさらに追い詰められていく。
野中は《藻のガリアル/Algae Gharial》をプレイした。前のゲームでは場を支配した《藻のガリアル/Algae Gharial》だったが、今回は《茨異種/Thornling》がすでにそれ以上の猛威をふるっている。Rossからの《天界の粛清/Celestial Purge》が《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を除去し、《不屈の随員/Dauntless Escort》2体と《野生のナカティル/Wild Nacatl》、それに《茨異種/Thornling》が攻撃を仕掛ける。野中は《不屈の随員/Dauntless Escort》1体を《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》でブロックしたが、《茨異種/Thornling》が7/1にふくれあがる。《藻のガリアル/Algae Gharial》が3/3になったものの、野中の軍勢はすでにその《藻のガリアル/Algae Gharial》1体だけとなっていた。
野中は防御クリーチャーを求めて《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》をプレイ。続唱で《終止/Terminate》を引き当てて《不屈の随員/Dauntless Escort》を除去し、《藻のガリアル/Algae Gharial》を4/4に育てる。《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》を防御に残した野中だったが、不幸なことにアメリカ人の下に《サルカン・ヴォル/Sarkhan Vol》が登場、《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》を奪われてしまう。この裏切りはあまりに重く、野中はこれで投了するしかなかった。
野中 1, Ross 1
![]() |
| カードを引く野中 |
第3ゲーム、Rossは《野生のナカティル/Wild Nacatl》、《アニマのドルイド/Druid of the Anima》と好調な立ち上がりを見せる。野中のほうは3ゲーム続けて3ターン目の《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》からの始動だ。《ナヤの全景/Naya Panorama》と《貴族の教主/Noble Hierarch》のおかげで、《野生のナカティル/Wild Nacatl》は4/4になって攻撃。《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》は喜び勇んでブロックし、苗木をまき散らす。次のターン、3体の苗木のうち2体はRossに攻撃し、1体は《野生のナカティル/Wild Nacatl》の攻撃に備えて残った。
この攻撃の後で、Rossは《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》をプレイし、兵士トークンを生み出していく。《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》で《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》は除去されたが、彼女の遺した兵士は《野生のナカティル/Wild Nacatl》とともに攻撃し、兵士は苗木1体と相討ちとなって《野生のナカティル/Wild Nacatl》は本体に3点のダメージ。ここで《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》から《野生のナカティル/Wild Nacatl》をさらに2体呼び出したものの、野中はぴしゃりと2枚目の《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》をプレイして《野生のナカティル/Wild Nacatl》3体を一掃した。
Rossは《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》で攻撃した後、《軍部政変/Martial Coup》をX=4でプレイして陣営を立て直し、《終止/Terminate》で《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》を処理してターン終了。《藻のガリアル/Algae Gharial》を出すのみの野中に、Rossはさらに《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を呼び出して総攻撃をしかける。《藻のガリアル/Algae Gharial》と苗木トークンがそれぞれ《アニマのドルイド/Druid of the Anima》と相討ちとなり、野中のライフは残り4点になる。
クリーチャーがいない上にライフが4点しかなくなっている野中は、生き残るために何か切り札を引かねばならない。Rossは《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》の《天使の祝福/Angelic Blessing》能力を《貴族の教主/Noble Hierarch》に使い、さらに《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》の続唱で《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を呼び出した。Rossの《ナヤの魔除け/Naya Charm》でブロッカーがタップされ、《マグマのしぶき/Magma Spray》で兵士を1体除去して何とか残りライフ1点で踏みとどまった野中だったが、次のターンに《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》が兵士の1体に飛行を与えるに至っては投了するしかなかった。
Ross 2, 野中 1
野中はこのラウンド終了時で2敗、Rossは1敗を守り抜いた。どちらのプレイヤーも、何時間にも及ぶマジック・オンラインでの経験を生かしてプロツアー・トップ8へ駈けのぼる大チャンスであることに変わりはない。