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Tom LaPille
2009年 6月6日(土)
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| 斉藤 友晴・Gabriel Nassifという2人のビックネームによる試合は、 当たり前だが、大勢の観客を呼ぶこととなった。 |
今からこのテーブルで試合を行う斉藤 友晴とGabriel Nassifは、年間最優秀選手を決めるプロポイントレースにおいて現在2位・3位を走っている選手で、まさに世界のトップクラスと呼ぶべき存在だ。
現在のプロポイントレースの状況は、Nassifが37P、斉藤は31Pを持ち、41Pで1位となっているLuis Scott-Vargas(USA)を追いかけるという展開。 本大会では、これら3選手は、既にTop8進出の可能性がほぼ無いであろう状況となっている。 しかし、少しでも良い成績で本大会を終え、より多くのプロポイントを獲得することは、年間レースにおいて非常に重要であり、今から始まるゲームはまさに真剣勝負といえるものになるだろう。
Nassifが使用するデッキは、エスパーカラーの『スフィンクスコントロール』。 《否定の壁/Wall of Denial》などで時間を稼ぎ、《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》・《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》といったフィニッシャーでゲームを決めるデッキなのだが、恐るべき即死コンボが内包されている。 それは、《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》が場に出ている状況で、2体の「シャルム」をその能力によって無限に循環させ、無限のパワーを持ちブロック不可能となった《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》の一撃で相手を葬り去るという、恐るべきものである。
対する斉藤が使用するデッキは、至ってシンプルな『緑白ビートダウン』。 マナクリーチャーで加速して、《戦誉の天使/Battlegrace Angel》・《茨異種/Thornling》といったフィニッシャーに繋げるといったデッキだ。
彼が勝利するには、Nassifがマナを揃え体制を整える前に、ゲームを決める必要があるだろう。
お互いに1回のマリガンを選択して、斉藤は2ターン目に《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》をプレイ。対するNassifは《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander》をプレイするというゲームの立ち上がり。
斉藤は第3ターンに《荒原の境界石/Wildfield Borderpost》を通常プレイ、続くターンには《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》を場に送り出すと同時に、能力によって2枚の《貴族の教主/Noble Hierarch》を獲得して、その内の1枚をプレイする。 一方のNassifは、《否定の壁/Wall of Denial》で盤面を固め、《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》をサイクリングでドローに変換してから《急使の薬包/Courier's Capsule》を場に出し、ドローを進めようという構えに入ったのだが。
ここで、斉藤が猛攻を開始する。 《茨異種/Thornling》をプレイし、能力を起動して「速攻」を持たせると、全軍でのアタック宣言。 受け止めるNassifは、《茨異種/Thornling》を《否定の壁/Wall of Denial》でブロック、《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》を《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander》 でブロックして相打ち、斉藤の《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander》はスルーというブロックを宣言するが、手札は全て土地カードで苦しい状態である。
斉藤は、続くターンも攻め手を緩ませることなく、2枚目となる《貴族の教主/Noble Hierarch》を出し、「賛美」によって【6/6】となった《茨異種/Thornling》でNassifを攻撃。《否定の壁/Wall of Denial》によってブロックはされるが、能力によって《茨異種/Thornling》を【8/4】にサイズ変化させることによって、この壁を墓地送りにすると、《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant》を戦線に追加。 これによって斉藤の残りマナは0となり、《茨異種/Thornling》の「破壊されない」能力を使うためのマナも無くなるのだが、斉藤は「破壊されない」ために必要なマナを残す必要性が無いことを察している。
Nassifは6枚目となる土地を場に置き、《エスパーの魔除け/Esper Charm》によって斉藤の手札から2枚の《天界の粛清/Celestial Purge》を捨てさせた後、《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》を通常プレイで場に出すが、これで残りマナは0となり、ノーガード状態となった。
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| Gabriel Nassifの実力は、まさに"本物"と呼ぶに相応しい。 |
やってきたこの好機に、斉藤は《ビヒモスの大槌》をプレイ。 そして、すぐさま《茨異種/Thornling》に装備してのアタックで大ダメージを叩き込む。
これで、Nassifのライフは7、斉藤のライフは29。
返ってきたターン、Nassifはフルタップで《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》を場に繰り出し、「なんとなくだけど、俺が死んでるっぽいね」と軽口を叩きながらターンを終了。
再び斉藤のターンとなり、ここで斉藤は長考に入る。 どうやら、《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander》に《ビヒモスの大槌》の装備を移しかえてアタックするビジョンなどを考えているようだ。 しかし、結局は装備の移し変えも無く、《貴族の教主/Noble Hierarch》達のバックアップを受け【13/3・トランプル・絆魂】となった《茨異種/Thornling》のみでのアタックを選択することとなった。
もちろん《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》でのブロックとなり、まずNassifが「先制攻撃・絆魂」を持つ《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》の能力で6点のライフ回復をしてから、《茨異種/Thornling》のトランプルによる貫通ダメージでNassifのライフが7点減少する。
凄まじい殴り合いとなった。 【15/1・トランプル・絆魂】となった《茨異種/Thornling》と、《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》による戦闘は、Nassifが3点のライフを失い、斉藤が多くのライフを獲得するという損得になるが、ここでNassifはこの状況を打破できる2枚目の《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》を引き当て、場に投下。 戦闘は毎ターン、Nassifが3点、斉藤が6点のライフを回復するというものに変化し、これが2ターン程続くのだが、斉藤が《天界の粛清/Celestial Purge》引き、状況を打開する。
そんな長い試合だったが、試合は突如終わりを迎える。
カバレッジ冒頭で紹介した、Nassifの《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》+《シャルム》2枚による「無限ダメージ」コンボである。
斉藤のライフは相当なものであったが、"一撃"だった。
斉藤 0-1 Nassif
斉藤は、サイドボードから投入した《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》で第2ゲームを開始。 返しのターン、Nassifは《急使の薬包/Courier's Capsule》を場に出し、《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》の能力起動を誘うのだが、斉藤は誘惑振り切ってNassifの《境界石》を《忘却の輪/Oblivion Ring》することによりマナ基盤を攻め、Nassifはアクションを取ることが出来ずターンをすぐ返すこととなる。
斉藤は続けて《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》を戦線に追加すると同時に2枚の《貴族の教主/Noble Hierarch》も獲得。 Nassifも3マナ目を場に置き、《否定の壁/Wall of Denial》をプレイして《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》の攻撃を防ぐのだが、斉藤の手札からは2枚の《貴族の教主/Noble Hierarch》だけではなく、2枚目となる《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》が戦線に追加される。
2枚目の《否定の壁/Wall of Denial》を出し、これで何とか凌ぎたいといったNassifだったが。
斉藤の手札からは、5枚目となる「賛美」クリーチャーである《戦誉の天使/Battlegrace Angel》が投下され、【8/6】となる《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》が《否定の壁/Wall of Denial》を1枚粉砕する。
Nassifが《エスパーの魔除け/Esper Charm》でドローを進め、一見は無防備に見える状態となり、斉藤は全軍でのアタックを決行するが、Nassifはここで《流刑への道/Path to Exile》で《戦誉の天使/Battlegrace Angel》を除去。何とか踏みとどまる。 斉藤は、またも《忘却の輪/Oblivion Ring》でNassifの《境界石》を排除。
Nassifは《スフィンクスの召喚士/Sphinx Summoner》を出し、その能力で《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》を手札に加えて斉藤にターンは返す。
この段階で、斉藤の手札は0枚。
しかし、自身のターンに入り、ドローをした斉藤は手札から《バントの魔除け/Bant Charm》をプレイ!
強烈なトップデッキにより、障害となる《スフィンクスの召喚士/Sphinx Summoner》を退かしてのフルアタックでNassifのライフを6へと追い込むと、次のターンでの攻撃に耐えられないNassifは投了となった。
斉藤 1-1 Nassif
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| 迎えた第3ゲーム、斉藤は勝ちを求める。 あと散発。 |
立ち上がり、斉藤は《貴族の教主/Noble Hierarch》 《ヴァレロンに仕える者/Steward of Valeron》、Nassifは《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》と、お互いにゲームのスピードを加速させる。
斉藤は《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》を出し、《仕える者》と「賛美」で4点のダメージを叩き込むと、すぐさま能力を起動してNassifの《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》を破壊。 マナ基盤を攻め、勝利した先ほどのゲームと同じような展開を狙うが、Nassifも《否定の壁/Wall of Denial》を展開して斉藤の軍勢に対抗する。
続くアクションは、斉藤が《仕える者》と《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》でアタックしたタイミングに起こった。 Nassifが《ヴァレロンに仕える者/Steward of Valeron》に《流刑への道/Path to Exile》をプレイすると、 斉藤も対応して《ヴァレロンに仕える者/Steward of Valeron》からマナを出しての《天界の粛清/Celestial Purge》プレイでNassifの《境界石》を破壊するという、息詰まる攻防。 斉藤は、明確に、Nassifのマナ基盤を攻めて思うような展開をさせないことを意識し、徹底している。
Nassifは《エスパーの魔除け/Esper Charm》でドローを進める。 斉藤も《茨異種/Thornling》を場に投下させ、能力によって「速攻」を得てフルアタックを慣行するが、《否定の壁/Wall of Denial》によって攻撃は阻まれ、Nassifへのダメージは3点に留まる。
次のターン、Nassifが放った《自我の危機/Identity Crisis》は4枚あった斉藤の手札を奪い去る。 しかし、《茨異種/Thornling》という脅威はまだ場に存在している。
次の戦闘で、斉藤は長考による「遅いプレイ」で「警告」のペナルティを受け、斉藤は再度《忘却の輪/Oblivion Ring》で《境界石》をリムーブしてターンを返すのだが、Nassifは《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を場に追加し、その能力によって場に【1/1】トークンを出し、残る脅威であった《茨異種/Thornling》も《流刑への道/Path to Exile》で除去。
斉藤は諦めず続けるのだが、NassifはX=5での《軍部政変/Martial Coup》を宣言。 《エルズペス》とトークンの群れは、ほんの数ターンで斉藤のライフを削りきった。
斉藤 1-2 Nassif
この試合後、両者は勝っていても絶対Top8進出は無理だったことが明確になるが、Nassifにとって、この勝利によって手に入れた追加のプロポイントは間違いなく嬉しいものであっただろう。
また、私達は、プロポイントレースを戦い、年間最優秀選手を目指すこの2人の激戦を何度も見てゆくことになるだと思う。
斉藤 友晴 『緑白ビートダウン』
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Gabriel Nassif 『スフィンクスコントロール』
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