プロツアーホノルル 第2回戦:さらなる瞑黙者を

Tom LaPille

金曜日, 6月 05, 2009



斎藤友晴(白緑アグロ) 対 Dave Williams(スフィンクスコントロール)

二人ともゲームの態勢をまっすぐ保っている

 Dave Williamsの名前はマジック界では有名でしたが、今の彼はプロのポーカープレイヤーとして有名です。そしてポーカーのワールドシリーズは毎年行われているポーカートーナメントの世界選手権といえる名門で、まさに今開催されているところです。

 しかし、ハワイでマジックという総合的な魅力は、Williamsをラスベガスからホノルルへバケーションさせるのに十分すぎたようです。

 対面は斎藤友晴、彼は今年のプレイヤーオブザイヤーで現在3位につけています。世界を渡り歩く斎藤は、バルセロナとシアトルから今このハワイに来て、来週末にはブラジルのグランプリサンパウロに行く予定です。

 Williamsのデッキは《スフィンクスの召喚士/Sphinx Summoner》、《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》、《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》と多くのスフィンクスを投入したエスパーデッキです。4枚の《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》は、2枚の《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》が場と墓地をぐるぐるし続けることでどこまでも大きくなります。

 斎藤はシンプルな白緑のアグレッシブデッキを使っています。そのマナカーブは《貴族の教主/Noble Hierarch》からスタートし、《茨異種/Thornling》と《戦誉の天使/Battlegrace Angel》まで大きくなります。

 Williamsが《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》や《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》を展開するまえにクリーチャーで押し切らなければ斎藤の勝ちはないでしょう。


Game 1

 Williamsが《秘儀の聖域/Arcane Sanctum》、斎藤は《海辺の城塞/Seaside Citadel》で合わせ打ちの立ち上がり。斎藤は2ターン目に《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》をプレイしますが、3ターン目はWilliamsの《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》に対して《荒原の境界石/Wildfield Borderpost》を置くにとどまります。

 Williamsは《エスパーの魔除け/Esper Charm》を使い2枚のカードを得ますが、斎藤は《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》で同様に2枚のカードを得て1体分のアドバンテージを得ます。

 《スフィンクスの召喚士/Sphinx Summoner》で《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》を引っ張り出して、Williamsもクリーチャー捜索ゲームに参加します。

 プロテクション(黒)持ちの《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》が《スフィンクスの召喚士/Sphinx Summoner》を素通りし、続けて斎藤は《茨異種/Thornling》をプレイ、《海辺の城塞/Seaside Citadel》を起こした状態でターンを終えます。

 一方のWilliamsは2枚の《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》をサイクリングします。ようやくデッキが走り出したといったところでしょうか。そして《死体の鑑定人/Corpse Connoisseur》で墓地に《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》を置きますが、場は斎藤のほうが押しています。

 斎藤はWilliamsのデッキがいつ臨界点に達するのか、しばし考えますが、判断がつかないようでした。今すぐに勝たなければならないでしょうか?

 ともかく、《死体の鑑定人/Corpse Connoisseur》に《忘却の輪/Oblivion Ring》を使い、《茨異種/Thornling》と《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》で攻撃します。《茨異種/Thornling》を《スフィンクスの召喚士/Sphinx Summoner》でチャンプブロックしたWilliamsは、斎藤の顔色を伺いますが、斎藤はトランプルを使いません。

 Williamsはアンタップし、《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》をプレイします。そこで斎藤は《天界の粛清/Celestial Purge》を使い、勝つための道をクリーチャーのために開きます。

 Williamsは投了まぎわに、手札の2枚の《天界の粛清/Celestial Purge》が何もしてくれないということを私に示しました。斎藤のまっすぐな白緑デッキの狙いの1つは、対戦相手のメインに入っている対策カードを無駄にすることで、まさにそのとおりになりました。

 このマッチアップでただの2/2に成り下がっている《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander》同様に、ジャンドデッキ相手には大いに役立つのですが、Williamsはその《天界の粛清/Celestial Purge》をすべてサイドアウトしました。

 次のゲームに向けてのシャッフル中、WilliamsはフィーチャーマッチでJon FinkelがJelger Wiegersmaに負けたことに気づきました。Jelgerに対してよい結果が出るはずのこのデッキでなぜJonがこんなに早く負けたのかと混乱するWilliamsですが、すぐに原因は明らかになります。FinkelはWilliamsとの情報交換後、別のデッキにシフトしていたと判明したのです。

斎藤友晴 1 - 0 Dave Williams


Game 2

観客も斎藤流プレイのスタイルを入念に研究している

 第2ゲームは、お互いマリガンスタートということで、同じ行動がより多いゲームとなりました。序盤のターン、マリガン後に《森/Forest》しかなかった斎藤を相手に、Williamsは3色ランドの合わせ打ちを行います。

 3ターン目、そんな状態だった斎藤は、Williamsが2枚の《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》をサイクリングしている間に、2体の《貴族の教主/Noble Hierarch》と《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》で1パン5点の体制を整えます。

 それに対して4ターン目を迎えたWilliamsには、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》という完璧な解答がありました。賛美を利用する単体アタックは、毎ターン登場する兵士によってブロック可能です。

 斎藤の5/5《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》による攻撃は、普通に兵士でブロックされ、陽動の意味を成しませんでした。しかしその後の《平地/Plains》からの《忘却の輪/Oblivion Ring》で《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を除去し、Williamsは驚かされます。

 ところがWilliamsは2枚目の《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を持っており、兵士によるチャンプブロックが繰り返されます。

 その後、小さな兵士を《茨異種/Thornling》のトランプルで乗り越えるために斎藤がフルタップすると、そこへWilliamsの《流刑への道/Path to Exile》が飛んできます。

 Williamsは《ゾンビの異国者/Zombie Outlander》でさらに盤面を固めようとしますが、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》への3度目のアタックを防ぐ前に《天界の粛清/Celestial Purge》されてしまいます。さらに斎藤の側には《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》が登場します。

 《スフィンクスの召喚士/Sphinx Summoner》をプレイしたWilliamsは《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》を探し出します。斎藤は《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》と《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》の2体で忠誠度3に落ちている《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を攻撃するために、それに対し2枚目の《天界の粛清/Celestial Purge》を使います。

 さらに《戦誉の天使/Battlegrace Angel》を展開する斎藤に対して、Williamsは兵士を生み出すことで応えるのみです。《戦誉の天使/Battlegrace Angel》が《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を除去し、《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》へのマナを減らすために《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》が境界石を破壊する間、Williamsは見ていることしかできません。

 次のターンからの《戦誉の天使/Battlegrace Angel》は2ターンの攻撃でWilliamsのライフを15から1にさせ、警戒させます。次で終わろうかというターンに、地上を兵士で守りつつ空中を守ってくれる《否定の壁/Wall of Denial》を引き当てます。

 まあ、これは、斎藤が別の賛美クリーチャーを出してこないことが前提です。そうなってしまえば《戦誉の天使/Battlegrace Angel》は0/8を打ち破る8/8サイズまで大きくなります。

 はたして斎藤は、賛美クリーチャーを出すことなく、ライフ獲得にしかならない攻撃を開始します。

 Williamsは6枚目となる土地を引き、ようやく《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》をプレイして《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》を手札に戻します。

 そのシャルムをターン終了ステップに3枚目の《天界の粛清/Celestial Purge》で除去した斎藤は、次のターンに2枚目の《戦誉の天使/Battlegrace Angel》を引いてきます。それはまさに待ち望んだ賛美クリーチャーであり、8/8となった天使がようやく壁を打ち砕きます。

 斎藤にとっては残念なことに、Williamsは待ち望んでいた土地を引いて《軍部政変/Martial Coup》をプレイして場を平らにし、Williamsの最後のライフと斎藤のクリーチャーの間を兵士トークンで阻みます。

 斎藤は《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》から2枚の《貴族の教主/Noble Hierarch》で場を再構築しますが、Williamsは《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》を続けて展開します。今のライフ差は52対1ですが、斎藤はスフィンクスがあっというまにゲームを終わらせることを理解していました。

 第3ゲームにかけることに決めた斎藤は投了します。

斎藤友晴 1 - 1 Dave Williams

 第3ゲームのためにシャッフルしている間、斎藤は自分のデッキから《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant》をはじき落としてしまいます。

 斎藤は次のゲームの前にトイレに行きたいとジャッジに申し出、その間ジャッジは時間を止めていましたが、斎藤が席を外すと共にそれまで大人しくしていたWilliamsが少々興奮したようすで、

「《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant》? マジで? 是非そいつをプレイしてもらいたいもんだね!」

 Williamsはさらに、土地をタイミングよく引けたことについて話し出します。ゲームのほとんどはひどい状態でしたが、土地をもっと早く引いていたら、2体目の《戦誉の天使/Battlegrace Angel》が出る前に《軍部政変/Martial Coup》をプレイして、結果負けていたことでしょう。


Game 3

Williamsは自身のスタイルを失っていない

 Williamsはわずかに顔をしかめつつ、1マリガンで6枚の手札を保持しますが、斎藤はそれに付き合う気はまったくありません。Williamsが土地しか出していない間に、2体の《貴族の教主/Noble Hierarch》、《ヴァレロンに仕える者/Steward of Valeron》、《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant》と展開していきます。

 しかしWilliamsの最初の展開は《貴族の教主/Noble Hierarch》への完璧な対策となる《否定の壁/Wall of Denial》でした。再び、対戦前にWilliamsが臨んでいた通り、2枚目の《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant》をプレイした斎藤は、攻撃で2点を通します。

 2体目の《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant》に合わせるように2体目の《否定の壁/Wall of Denial》をプレイしてWilliamsが防衛線を拡大します。

 斎藤もまた《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》と《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》、そして兵士トークンを盤面に加えます。Williamsの重くてパワーのあるカードが壁に続くまでに、斎藤の軍勢は2枚の壁を攻略できるでしょうか。

 Williamsには少々マナの問題があったため、斎藤の動きを阻害することができませんでした。彼はまだ黒マナがなく、青マナも1つしか出せません。つまり、《急使の薬包/Courier's Capsule》を出しても能力が使えないということです。

 斎藤はカードへのアクセスを防ぐために《忘却の輪/Oblivion Ring》を使い、続けて戦闘を開始します。Williamsはそのうち1体を《流刑への道/Path to Exile》しますが、それ以外のアクションはできません。

 Williamsの勝ち目はもう薄いようです……斎藤のクリーチャーは2体の壁を越えてコツコツとやりつづけ、さらに《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》の上にはコツコツとカウンターがたまっていきます。最後の能力を使われてしまっては困難を極めるでしょう。

 斎藤は再び攻撃し、Williamsのライフは5まで減少します。Williamsがプレイしたのはまた土地でした。次の攻撃でライフは2になり、《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》の忠誠度は8を数えます。Williamsはやけになって《エスパーの魔除け/Esper Charm》をプレイしたのち、投了しました。

斎藤友晴 2 - 1 Dave Williams

 マッチ終了後に私は斎藤に、《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant》がこのマッチアップで良いカードなのか聞いてみました。彼は少し考えて、うつむきつつ頭を振って否定しました。

 彼はジャンド系のデッキを攻略するようにデッキを構築しています。追加のドローをもたらす4マナ2/4は《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》や《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax》を寄せ付けないためでしたが、Williamsのデッキのようにより遅く強力なカード群に対しては理想的ではありません。

 幸い、今回はWilliamsを負かすぐらいには良かったようです。

Tomoharu Saito


9 《森/Forest》
8 《平地/Plains》
4 《海辺の城塞/Seaside Citadel》

-土地(21)-


3 《戦誉の天使/Battlegrace Angel》
4 《貴族の教主/Noble Hierarch》
4 《イーオスのレインジャー/Ranger of Eos》
4 《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant》
4 《ヴァレロンに仕える者/Steward of Valeron》
4 《茨異種/Thornling》
4 《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》

-クリーチャー(27)-
2 《ビヒモスの大鎚/Behemoth Sledge》
4 《天界の粛清/Celestial Purge》
3 《忘却の輪/Oblivion Ring》
3 《荒原の境界石/Wildfield Borderpost》

-呪文(12)-
2 《バントの魔除け/Bant Charm》
1 《戦誉の天使/Battlegrace Angel》
1 《ビヒモスの大鎚/Behemoth Sledge》
3 《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》
3 《軍部政変/Martial Coup》
1 《忘却の輪/Oblivion Ring》
4 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》

-サイドボード(15)-

Dave Williams


4 《秘儀の聖域/Arcane Sanctum》
2 《崩れゆく死滅都市/Crumbling Necropolis》
5 《島/Island》
8 《平地/Plains》
3 《沼/Swamp》

-土地(22)-


2 《死体の鑑定人/Corpse Connoisseur》
4 《ガラス塵の大男/Glassdust Hulk》
4 《覇者シャルム/Sharuum the Hegemon》
3 《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》
1 《スフィンクスの召喚士/Sphinx Summoner》
4 《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander》
4 《否定の壁/Wall of Denial》

-クリーチャー(22)-
3 《天界の粛清/Celestial Purge》
2 《急使の薬包/Courier's Capsule》
4 《エスパーの魔除け/Esper Charm》
2 《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》
2 《自我の危機/Identity Crisis》
2 《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》
1 《原始物の粉/Protomatter Powder》

-呪文(16)-
1 《天界の粛清/Celestial Purge》
2 《対抗突風/Countersquall》
4 《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》
2 《軍部政変/Martial Coup》
4 《流刑への道/Path to Exile》
2 《ゾンビの異国者/Zombie Outlander》

-サイドボード(15)-

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