Round 7:予言者の余計な予言

Bill Stark

金曜日, 6月 05, 2009



中村 修平 vs. Rasmus Sibast

中村とSibastの対戦は観衆を集めた

先代PoYであり、世界中を駆け巡るプロツアー戦士といえばでおなじみの中村 修平は、日本の中でも稀代の人物である。対するは、プロツアープラハでトップ8入賞経験のあるRasmus Sibast。彼はその後再びトップ8入賞することはなかったが、しかし、こと40枚のカードを使用するフォーマットにおいて愚鈍ということは無い。周囲の友人からは親しみを、ちょっと込めすぎた感じで「Big Oots」と呼ばれているこの若きプレイヤーは、経験豊か、洒落て訳せば今が旬のベテランプレイヤーにダイスロールでまずは一敗。


Game 1

中村は2ターン目に《潮の虚ろの大梟/Tidehollow Strix》を送り出し、さらに《鉤爪の強兵/Talon Trooper》へと続ける。Rasmusは《森の報奨/Sylvan Bounty》の基本土地サイクリングでマナベースを安定させることにいそしみ、結果、ナヤカラーのマナベースを揃える。Sibastは《ジャンドの滞留者/Jund Sojourners》を対戦相手の2/1フクロウを除去するためにサイクリングし、その過程でドローを進めるのだが、中村が追加したさらなる飛行クリーチャーである《ゴミあさりのドレイク/Scavenger Drake》をただただ眺めることしかできない。

Sibastは盤面に《忘却の輪/Oblivion Ring》を追加し、《鉤爪の強兵/Talon Trooper》を釘付けにする。対して、中村は5マナあるにもかかわらず、何もプレイせずにターンを返す。Sibastが《ラッカ・マー/Rakka Mar》をキャストしようとするにいたって、何故中村がそうしたかが判明する。中村は《魂の操作/Soul Manipulation》によって《潮の虚ろの大梟/Tidehollow Strix》を回収しつつ、この4マナ伝説クリーチャーをカウンターして見せたのだ。

まだまだ、敗色濃厚、というわけにいかないSibastは対戦相手の《ゴミあさりのドレイク/Scavenger Drake》 《ゾンビの異国者/Zombie Outlander》 《最前線の賢者/Frontline Sage》そして《淀み水の精霊/Brackwater Elemental》という盤面をにらみつつ、《天望の預言者/Skyward Eye Prophets》を呼び出す。残り11ライフとあっては、Sibastは永遠になんの方針も得ることができない。彼は、《捕らえられた陽光/Captured Sunlight》の4点ゲインと、そこからめくれた「無料の」《魂の火/Soul's Fire》によって《ゴミあさりのドレイク/Scavenger Drake》を除去することで、なんとか一息ついて、体勢を立て直す。

中村は《エスパーゾア/Esperzoa》によってプレッシャーをかけ続けるとともに、《万華石/Kaleidostone》とのコンボによって、毎ターン追加のカードを獲得し続ける。Sibantは、淡々と《天望の預言者/Skyward Eye Prophets》から得られるだけのアドバンテージを獲得し続けるが、なかなか解決策にまでたどり着けない…それは《ドラゴンの大母/Dragon Broodmother》を盤面に放り出すまでの話だが。この4/4クリーチャーはすぐさま制空権を獲得することを確約してくれる。なんせ《新緑の魔力/Verdant Force》の要領で毎ターン延々と飛行を持ったチャンプブロッカーを量産してくれるのだから、これは中村もたまらない。

しかしながら、中村のほぼ全軍による進撃によって、窮地に追い込まれてしまったSibastは、なんとか優位を得ようと画策する。中村が《エーテル宣誓会の盾魔道士/Ethersworn Shieldmage》を見せたことで、Sibastは彼の期待したような展開とすることがかなわず、むしろ予想とはほど遠い状態に追い込まれ、この過程の中で《ドラゴンの大母/Dragon Broodmother》まで失ってしまう。中村のターンエンドと自分のターンの2回にわたって起動した《天望の預言者/Skyward Eye Prophets》の幻視が彼に救いようのない未来を見せると、Sibastは第2ゲームのためにカードをかたづけた。

Nakamura 1, Sibast 0


Game 2

"Big Oots"は、様々な色をテーブルに並べた

第2ゲームではどちらのプレイヤーも序盤に大きな動きを見せることはなかった。この均衡を破ったのが中村の《最前線の賢者/Frontline Sage》。このカードにバックアップされた《縫い目のドレイク/Sewn-Eye Drake》の賛美に助けられての4点アタックにたいして、Sibastにも備えがあった。彼は《縫い目のドレイク/Sewn-Eye Drake》を《ジャンドの滞留者/Jund Sojourners》サイクリングで除去すると、今度は《竜魂の騎士/Dragonsoul Knight》によって盤面を制圧しにかかったのだ。

《天望の預言者/Skyward Eye Prophets》と《黄金塔の報復者/Giltspire Avenger》が後続となり、これら強力カードによる波状攻撃が中村の心を砕きにかかる。負けじとばかりに中村は《否定の壁/Wall of Denial》と、1体のみならず2体もの《ジェスのゾンビ/Jhessian Zombies》の畏怖で勝利への道をこじ開けようとする。《黄金塔の報復者/Giltspire Avenger》が機能し始めてしまったにもかかわらず、日本人の超プロは粘りを見せる。程なくしてSibastは版図を完成させ《竜魂の騎士/Dragonsoul Knight》を超騎士へと変化させる。さらに《天望の預言者/Skyward Eye Prophets》が《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》を提示する。どう見ても中村にとって大変な状態なのは確定的にあきらかだ。

日本のキラ星でおなじみの中村による《脳噛みつき/Brainbite》は、対戦相手の手札に《死を運ぶソクター/Deathbringer Thoctar》と、すでにおなじみの《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》、そして《アミーシャの口づけ/Kiss of the Amesha》を提示する。《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》をディスカードさせた中村だったが、《天望の預言者/Skyward Eye Prophets》が自身のターンエンドにさらに見せた未来によって、むやみにゲームを長引かせるよりは、と投了をした。

Nakamura 1, Sibast 1

こうしてマッチはGame 3へともつれこみ、Sibastのデッキが強烈なレアに満ちあふれていることが明らかになった。一方で中村のデッキは、カード単体の力で見れば劣っているように見えるが、しかし、エスパーという3色の組み合わせに注視することを怠ってはいけない。この組み合わせは、もっとも効率の良いドロー呪文と、全般において戦術が複合的に絡み合っているのだ。こうした要因が何が起こってもおかしくない状況を作り出している。


Game 3

中村はデッキも性格も控え目だ

中村の《ゾンビの異国者/Zombie Outlander》は、Sibastの《竜魂の騎士/Dragonsoul Knight》によって押しとどめられてしまう。中村は、墓地に回収できるカードが無いにもかかわらず後続として《聖域のガーゴイル/Sanctum Gargoyle》を追加する。Sibastはマナベースを強固にすることを選択し、《エスパーの鵜/Esper Cormorants》をキャストする前に、《ジェスのゾンビ/Jhessian Zombies》と《抵抗の微光/Gleam of Resistance》を基本土地サイクリングする。この3/3クリーチャーによって中村のガーゴイルビートは停止するかに見えたのだが、中村も速攻の《縫い目のドレイク/Sewn-Eye Drake》という解答を持っている。

前のターンにまったくブロックをおこなわず7点のダメージを受けていたSibastだが、《死を運ぶソクター/Deathbringer Thoctar》をキャストしたことで、ブロックによってクリーチャーを失うことを嫌ったということが明らかになった。そう、《死を運ぶソクター/Deathbringer Thoctar》をプレイしたあとにクリーチャーが死ねば死ぬほど、そこからうみだされた+1/+1カウンターが、中村の後続を破壊することになるからだ。中村は《脳噛みつき/Brainbite》をプレイするのだが、コレはGame 2同様に《鋼の風のスフィンクス/Sphinx of the Steel Wind》をディスカードさせるのみにとどまった。Sibastの手札に、なおも《魂の火/Soul's Fire》を残したまま。この除去呪文が中村の《聖域のガーゴイル/Sanctum Gargoyle》を除去すると、《死を運ぶソクター/Deathbringer Thoctar》による連鎖があからさまになる。カウンターによって《縫い目のドレイク/Sewn-Eye Drake》が除去され、そして、そのことでなおも《死を運ぶソクター/Deathbringer Thoctar》の上には+1/+1カウンターが残されるのだ。

《捕らえられた陽光/Captured Sunlight》がSibastに《黄金塔の報復者/Giltspire Avenger》をもたらすという中村にとって明らかに不利な展開。Sibastが前述のように《縫い目のドレイク/Sewn-Eye Drake》を《死を運ぶソクター/Deathbringer Thoctar》で除去しようとすると、中村は《引きずり下ろし/Drag Down》でこれを阻止!と思いきやSibastは《バントの魔除け/Bant Charm》でこの除去呪文をカウンターし、《竜魂の騎士/Dragonsoul Knight》とともにアタックして中村のライフを15にする。こうして、どんどんどうしようもなくなっていく状態に陥ってしまった中村、続くターンにドローしたカードをみると、この圧倒的な盤面を前に投了することを選択した。

Sibast 2, Nakamura 1

PTホノルル09 カバレージ トップへ 原文(英文記事)へ