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Tom LaPille
土曜日,6月06,2009
ようこそプロツアーホノルルの二日目へ。昨日全勝を記録したのはZac HillとBrian Kiblerの二人だけであり、この試合の勝者は引き続き全勝の座を維持する事となる。
Kiblerは2000年に行われたプロツアーシカゴにて《煽動するものリース/Rith, the Awakener》を使用しトップ8に残ったことから、かつてドラゴンマスターとして知られていた。しかしこの週末、Hillはドラゴンマスターという点ではKiblerを上回っていた。Hillは《プレインズウォーカー、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, Planeswalker》に彼の限定構築の5色コントロールデッキにどうにか住み着いてもらうよう納得してもらい、その一方でKiblerは攻撃的なエスパーデッキを使用した。
そして、このドラフトで両者は全く違うデッキを作り上げた。Hillのデッキは《天球儀/Armillary Sphere》などでマナを整え、強力なカード群を使う準備をしていき、《猛きセロドン/Bull Cerodon》、《衝合/Conflux》、《世界心のフェニックス/Worldheart Phoenix》、《束縛の皇子/Prince of Thralls》なんかで相手を仕留める5色デッキ。Kiblerのデッキは軽めに組まれたジャンドで、多くの速攻持ちクリーチャーを有している。これらのクリーチャーを使い、Hillの爆弾たちが姿を現す前にゲームを決めるのがKiblerの狙いだ。
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Kiblerは今朝も“Smashing the Opponents”を聴いていた。私は昨晩この曲のタイトルに気付いた時がっかりした。この曲自体は実際に対戦相手を倒すのに何もしないからね。それでもこの曲はいい働きをしているように見えた。この曲は今日もいい仕事を続けるつもりなんだろうか?
両者は会話を楽しみ、コインフィリップを終えるまで一定の冷やかしを続けた。
Hill: “少し音量下げてくれない?ここまで聴こえてくるんだけど”
Kibler: “なんだって?”
Hill: “なんだってじゃなくて…いや、まじで”
Kibler: “もうそろそろ終わるから気にしないでよ”
Hill: “ちょうど今終わったの?理解したよ”
Kibler: “長い曲だとペアリング見てから座るまでの間に終わらないんだよね。いっつも困ってるんだよ”
二人はシャッフルを続ける。
Kibler: “手になんか書いてあるみたいだけど、なんて書いてるんだい?”
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Hill: “FOWDRN.”
Kibler: “どういう意味?”
Hill: “あなたが今やっている事に集中しろ、って意味さ”
Kibler: “そりゃいいアドバイスだね”
Kiblerはソングを、Hillは尊句を。どちらがより強力かここで試されるだろう。
Hillは動きに多様性をもたらす《天球儀/Armillary Sphere》からゲームを開始し、“攻めるもの”Kiblerは《ゴブリンの死の略奪者/Goblin Deathraiders》でこれに応じる。Hillが《平地/Plains》2枚から《天球儀/Armillary Sphere》を使用し、《島/Island》と《山/Mountain》を持ってくるとKiblerがたじろいだ。
Kibler: “2手目は《蔓延/Infest》を取ったとみたね!”
Hill: “さっきから考え込んでいるのはそのためかい?”
Hillは《ジャンドの滞留者/Jund Sojourners》をサイクリングし《ゴブリンの死の略奪者/Goblin Deathraiders》の除去にあてる。Kiblerは代わりに《峡谷のミノタウルス/Canyon Minotaur》を追加。《困惑の石/Cumber Stone》がHillから飛び出し、Kiblerの脅威を失速させる。しかしKiblerは《巨大待ち伏せ虫/Giant Ambush Beetle》を引き当て5点のダメージを。Hillの《エスパーの鵜/Esper Cormorants》がそれらを食い止めようと試みるが、Kiblerは特に困った様子も見せず《炎血の襲撃者/Igneous Pouncer》を加え全軍でアタック。
Kibler: “これぞ俺のデッキだね”
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| Zac Hillは一見、出口にいるように見えた。 |
《困惑の石/Cumber Stone》のおかげで《エスパーの鵜/Esper Cormorants》が一方的に《峡谷のミノタウルス/Canyon Minotaur》を飲み込むが、7点ものダメージを受けてしまったHill。《フェアリーの機械論者/Faerie Mechanist》を召喚するものの3枚の中にアーティファクトは無し。それでも《気絶の狙撃者/Stun Sniper》を呼んでターンを返す。Kiblerは《惨めな食事/Wretched Banquet》でこれを葬り、《縫い目のドレイク/Sewn-Eye Drake》をプレイし3匹の速攻付きクリーチャーたちで再び全軍突撃。《エスパーの鵜/Esper Cormorants》が新たな食事として《縫い目のドレイク/Sewn-Eye Drake》を喰らい、《フェアリーの機械論者/Faerie Mechanist》は《炎血の襲撃者/Igneous Pouncer》と相打ちに。だが《巨大待ち伏せ虫/Giant Ambush Beetle》は止められずライフは2まで落ちる。
Hillは《巨大待ち伏せ虫/Giant Ambush Beetle》に対して《エスパーの鵜/Esper Cormorants》では不十分と感じたにもかかわらず、《精神の誓約/Covenant of Minds》によってドローを進める。
現れた3枚は《猛きセロドン/Bull Cerodon》、《流刑への道/Path to Exile》、《ジャンドのオベリスク/Obelisk of Jund》。
Kibler: “強っ!”
Hill: “やばいね”
Kibler: “5枚引いていいよ”
Hillにとって運の悪いことにKiblerは《ヴィスの吸収/Absorb Vis》を持っており、5枚のカード差など取るに足らない物だと彼に知らしめた。
Kibler 1, Hill 0
Kibler: “俺のデッキはバーンデッキみたいだな”
Hill: “最後は《マルフェゴールの息/Breath of Malfegor》がくるのかと思ったよ”
Kibler: “多分次はそれで決めるよ”
二人はシャッフルの合間にひと息入れた。その時、またKiblerが話しかけた。
Kibler: “今は俺《猛きセロドン/Bull Cerodon》初手で取るの嫌なんだけどさ、俺ドラフト中に見てないから君は初手で取ったんだろう?俺がこいつを初手で取ったドラフトは絶対失敗するんだよね”
Hill: “それでもこいつはドラゴンだぜ?”
Kibler: “ドラゴンの中じゃかわいい方さ”
更に数回のシャッフルが行われる中、彼らの会話は止まらない。
Kibler: “君が俺の席だったらよかったのにね。俺コンフラックスの初手で《軍部政変/Martial Coup》流したからなぁ”
Hill: “それは火力じゃないけど、どちらにせよ取った方がよかったんじゃない?マナの安定性は過大評価されすぎなんだよ”
Kibler: “君がマナを整えてる間に俺はひたすらに殴ってたのはうれしかったけどなぁ。結局君は死んじゃったんだし”
Hill: “確かにね”
Hillはワンマリガンでゲームを始める。
Kibler: “悲しいなんて俺には言えないね。Pikulaは正しかった、少なくとも最初に精神面は鍛えておけよってさ”
その言葉に対戦相手は首を縦に振った。Kiblerのマジック講習はまだまだ止まらない。
Kibler;“まあ公平っちゃ公平なんだけどさ、君もたまに運がよくて勝ったりするだろうし。俺は昨日の限定構築でジャンド相手に先手ダブルマリガンだったけど、《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade》2匹だけで勝っちゃったよ。相手のデッキには山ほど除去が入ってるのにね。もし1枚でも《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》引かれてたら負けてたよ”
このゲーム最初のアクションはKiblerの《ゴブリンの死の略奪者/Goblin Deathraiders》だった。Hillは《ジャンドのオベリスク/Obelisk of Jund》から《野生のナカティル/Wild Nacatl》でこれに答える。《平地/Plains》と《山/Mountain》があり《野生のナカティル/Wild Nacatl》はすでに3/3だ。本来は召喚するのに必要なはずの《森/Forest》はないけどね。Kiblerの《惨めな食事/Wretched Banquet》が《野生のナカティル/Wild Nacatl》を退け、次のターンに出てきた《フェアリーの機械論者/Faerie Mechanist》も《闇の感情/Dark Temper》でご臨終。この間にコツコツと《ゴブリンの死の略奪者/Goblin Deathraiders》がダメージを刻み、Hillのライフは14に。
Hillが3マナをタップし、それらを一度アンタップして小考に入る。
Kibler: “3マナって絶対《加撃/Zap》じゃん!”
Hill: “正解”
先程アンタップした土地3つを再びタップし、《ジャンドの滞留者/Jund Sojourners》をサイクリングして《ゴブリンの死の略奪者/Goblin Deathraiders》に制裁を。どこかで見たような光景だが、Kiblerはここで《峡谷のミノタウルス/Canyon Minotaur》を場に送り、《青ざめた出家蜘蛛/Pale Recluse》にブロックされたところで《ジャンドの魔除け/Jund Charm》で5/5に育てる。しかしこれで場に残ったのは《峡谷のミノタウルス/Canyon Minotaur》のみとなった。このテーブル上で1番小さいやつと言い替える事もできる。そう、今度はHillから《惨めな食事/Wretched Banquet》が飛んできたのだ。同じターンに《天球儀/Armillary Sphere》をプレイし、足りていなかった2つの基本地形をもってきてターンを終える。
Kibler: “版図5種類全部揃っちゃったよ!”
Hill: “《連合戦略/Allied Strategies》があれば最高なんだけどね”
Kibler: “あのカードほんと強かったよなぁ。でも俺は《集団監禁/Collective Restraint》の方が好きだけど”
Hill: “そのカードだったら2年前に使ったよ”
Kibler: “俺が使ったのは6年前だね”
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| Brian KiblerはHillの場に近づいてよく見た。 |
Hillは何もいない場に《エスパーの鵜/Esper Cormorants》を放つが、これは次のターンに出てきた《縫い目のドレイク/Sewn-Eye Drake》と即座に相打つ。もう少し時間がほしいHillは《困惑の石/Cumber Stone》を出して時間を稼ごうとするも、Kiblerの《血編み髪のクレシュ/Kresh the Bloodbraided》と《峡谷のミノタウルス/Canyon Minotaur》がそれを許さない。しかしサイクリングの《圧倒する静寂/Resounding Silence》がこの2匹をまとめて掃除する。戦闘後にKiblerは《焼け精神のオーガ/Singe-Mind Ogre》をプレイし、《流刑への道/Path to Exile》を公開させる。Hillは2枚目の《困惑の石/Cumber Stone》でKiblerを足止めし、《グリクシスの戦闘魔道士/Grixis Battlemage》には《アーシャへの捧げ物/Offering to Asha》を。2枚の《困惑の石/Cumber Stone》、そしてHillの手札に眠る《流刑への道/Path to Exile》を乗り越えるためには《焼け精神のオーガ/Singe-Mind Ogre》だけでは不十分だ。まずはと《巨大待ち伏せ虫/Giant Ambush Beetle》でお伺いを立てるが、Hillが最後の手札である《流刑への道/Path to Exile》を使用しこの昆虫を次元の彼方へと誘う。ここまでのHillのドローはゲームを彼の物とするのに十分だっただろうか?
Hillの次なる一手は《カターリの残影/Kathari Remnant》であり、続唱が《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を導く。続くターンに2点のダメージを与え、トップデッキした《空爪団/Skyclaw Thrash》が彼の軍勢に加わる。Hillの勢いは止まることを知らず、1ターン後には《猛きセロドン/Bull Cerodon》までもが追加された。Kiblerの《骨組み溶かし/Molten Frame》が《空爪団/Skyclaw Thrash》を破壊するが、《猛きセロドン/Bull Cerodon》は止まらない。Kiblerも《ヴィスの吸収/Absorb Vis》で粘るが、Hillの猛攻であっという間にライフは6に。
このままでは死んでしまうKiblerが《黒死病のカターリ/Pestilent Kathari》を召喚し、これに2枚目の《ジャンドの魔除け/Jund Charm》を使用しなんとか《猛きセロドン/Bull Cerodon》は打ち取るが、残ってしまった《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》が2ターン後にはゲームを決めた。
Kibler 1, Hill 1
Kibler: “アタックする前に《焼け精神のオーガ/Singe-Mind Ogre》呼ぶべきだったなぁ。もしかしたら《圧倒する静寂/Resounding Silence》見れたかもしれないし。そうじゃなかったとしても2匹でアタックしたのは失敗だった”
Hill: “そっちが《血編み髪のクレシュ/Kresh the Bloodbraided》と何かでアタックするまで《圧倒する静寂/Resounding Silence》は温存するつもりだったけどね。でも確かにアタックせずに待つべきだったと思う”
Kibler: “だよな?もっと違うプレイングをしてれば多分勝てたはずだよ”
お互いに3ゲーム目が始まる前に相手のデッキをカットした。
その最中にKiblerはからかうように“欲しいカードが上に来てるかどうかだね”と言ったが、Hillの初手はまさに彼が望んだ物だった。
Kiblerは2ターン目にクリーチャーを呼べず、更には3ターン目に3枚目の土地すら置けなかった。つまるところ悠々と《天球儀/Armillary Sphere》を起動する時間がHillに与えられたという事であり、5色の土地が揃ってしまった。
Kiblerはようやく3枚目の土地を引きあて《グリクシスの戦闘魔道士/Grixis Battlemage》を唱える。しかしながらまたしても《困惑の石/Cumber Stone》が行く手を阻みアタックはたったの1点に。《炎血の襲撃者/Igneous Pouncer》から《沼/Swamp》をサーチするが、クリーチャーを呼ぶ事は叶わずプレッシャーをかける事ができないKibler。《惨めな食事/Wretched Banquet》で《グリクシスの戦闘魔道士/Grixis Battlemage》を除去されたところでKiblerは《峡谷のミノタウルス/Canyon Minotaur》を召喚。Hillが唱えた《カターリの残影/Kathari Remnant》は先程と同じく《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を引き連れて登場した。再生用の黒マナがない今のうちに、と放ったKiblerの《惨めな食事/Wretched Banquet》によって《カターリの残影/Kathari Remnant》は退場。
再びHillが《精神の誓約/Covenant of Minds》をプレイし、《猛きセロドン/Bull Cerodon》、《アーシャへの捧げ物/Offering to Asha》、そして《断ち割る尖塔/Rupture Spire》が現れる。今回はこの3枚をKiblerが許可した。《気絶の狙撃者/Stun Sniper》がHillの場に加わりターンはKiblerへと移る。
自分に出来る事を熟考した後にKiblerは《峡谷のミノタウルス/Canyon Minotaur》でアタックした。4/4になれる《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》が相手の場にいたため、このアタックは奇妙に見えた。Kiblerはトリックを持っているのだろうか?
Hillもしっかりと考えた上で“それ、乗った”と宣言してこれをブロック。2点支払い《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を成長させようと試みた。だが《闇の感情/Dark Temper》がそれを阻止し、《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》を始末する。
《精神の誓約/Covenant of Minds》でもたらされた《猛きセロドン/Bull Cerodon》がここで召喚され、Kiblerに5点のダメージを。《峡谷のミノタウルス/Canyon Minotaur》を生け贄に捧げた《骨の粉砕/Bone Splinters》でなんとか《猛きセロドン/Bull Cerodon》は対処した。
Hillは何もいない相手の場をじっくり見渡して《気絶の狙撃者/Stun Sniper》でアタック。…している間に偶然にもプロツアーフォトグラファーであるCraig GibsonがHillの手札を何回か撮影した。
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| 確かに、Kiblerにとってこれはどの道よくない事だろうね。 |
Kibler: “そっちの手札を撮るなんて…俺に明るい未来は見えないな”
Gibson: “僕は彼の手札じゃなくて手札の後ろから写真を撮っているだけだよ”
Kibler: “あぁ、なるほどね”
しかしKiblerの安心も長くは続かず、《束縛の皇子/Prince of Thralls》が出現し重い一撃を繰り出す。《世界心のフェニックス/Worldheart Phoenix》がHillの場に追加されると、Kiblerは失意のあまり深く座り込んでしまった。
Kibler: “なんてこった!もし俺のデッキから好きな物を引いてもいいんならなんとかなりそうだけど…”
Hill: “どうぞどうぞ”
Kibler: “《ジャンドの魔除け/Jund Charm》でまず場を一掃して、その上で《惨めな食事/Wretched Banquet》を引けたら《束縛の皇子/Prince of Thralls》も殺せたのに。でも実際には引けなかった。君の勝ちだね”
Hill 2, Kibler 1
試合後にKiblerは“納得いかないなぁ。うまくプレイ出来なかった”と2本目の自分のプレイングに対して失望をあらわにした。もちろん、それでも彼はまだ1敗というすばらしい成績なのだが。これが意味するところ、Hillはこの会場で唯一の全勝プレイヤーとなった。
Zac Hill
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Brian Kibler
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